トルコ軍の転換: ISISとPKKを空爆 Turkey Turns to Air Raid

事実確認
2015年7月24日、金曜日。イスラーム教徒には休日ですが、この日にトルコがISIS(「イスラーム国」)とPKKに空爆を開始。

計3回のF-16による攻撃があった模様。7月20日にあった大規模テロがトルコ政府の方針転換の直接的なきっかけでしょう。
アメリカ政府が以前よりトルコ政府に空爆に加わるように要請していたのを受け入れた形になります。トルコ政府は米軍にトルコ軍基地の貸し出しも決定しています。

一方、PKKクルド労働者党(クルディスタン労働者党とも呼ぶ)というクルド系左翼過激派も同時に攻撃。空爆の3日前、トルコ政府はTwitterを2回目の遮断。これは反政府デモ阻止の一環と見られています。

エルドアン大統領は「いままでとは異なる行動をとらざるをえなくなった…今後もこのような行為は断固として実施してゆく」とトルコのTRTテレビで発言。また飛行禁止空域の設置も示唆しました。

ここまでが「事実確認」です(BBC、日経新聞、TRTなどを参考にしました)。

なにを意味するか? そして対策はあるか?

トルコは新しい段階へ入ったと言っていいでしょう。これでシリアとの国境付近で、戦闘やテロが広がる可能性が出てきました。またトルコでのテロリスクも高まりました。そして「トルコ人」とクルド人との対決という問題が復活。トルコ国内のクルド人問題が深刻化するのは必至。

シリア国内に直接空軍が攻撃を加えたのも大きいでしょう。ISISと正面から向き合ったということ。しかしISISと戦っているクルド人からなる軍はうまくいっているので、この地域の相関関係はさらに複雑化。ただし報道によれば、トルコ軍はシリアの空域には侵入していないとあります。事実かどうかはわかりませんが。

トルコは空軍をはじめ強力な武力を持っているので、トルコ領内にISISが攻め込むというのは考えにくいです。しかし、より解きほぐしにくい状況になったともいえます。トルコは、シリア政府に反政府活動をしている組織(シリア自由軍を含む)を物資面で支援しています。そこに第3の要素をもったISISの空爆も入ったので、敵が誰なのか、敵の敵は味方なのかがわからなくなってきました。クルド人部隊は、シリア領土内でISISと戦っているのです!

これではこの地域の紛争はじわりと拡大する一方です。シリア国内の人道的危機は限界を越えています。

ISIS対策の国際的な会議が必要でしょう。過去にも行われています。でもなにも決まらない可能性が高いでしょう。非難決議で会議は終わる。そして仲介国や仲介組織もいまのところ見当たらない。たとえばノルウェーは動きにくい。
また、そもそもISISと交渉ということ自体が間違っているともいえます。アメリカ軍は空爆を連日ISISに続けているものの、本格的なものとは到底言い難く、形式だけの攻撃です。この地域に関与しているというポーズに過ぎません。_84459638_turkeysyriaincirlikraqqakilis4640715出典: http://www.bbc.com/news/world-europe-33646314

この地図でいうと、トルコ軍はインシルリク空軍基地を使ってキリス近郊のシリア領内を攻撃。トルコ首相は「完全に目標を破壊した」と表明。
トルコと日本は、ANA全日空が定期便を出しています。また原発輸出でも関係が深い。トルコはもはやEU加盟といったことは考えていないでしょう。この地域で経済発展を遂げていたトルコが紛争地になることは避けたいところです。


おそらくこの攻撃の動画はそのうちのひとつだと思われます。

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投稿者:

crow tanaka

国際政治アナリスト(都市政策) 音楽社会学 上智大学非常勤講師

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